お茶の育て方《お茶のみ女子大学》

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お茶の育て方

先生
今日の授業は茶の育て方についてじゃが、本格的にやると一日では終わらんので、かなり省略するが、わからないことがあれば、何でも質問するがよい。
ほんとに何でも答えてくれるんだろうね。
男子生徒
先生
じ、じかんがあればの話じゃが。
先生
まず茶の育ちやすい条件じゃが、茶というものは基本的に温暖で湿潤な地域で育ちやすく、特に気温と、降水量に左右されやすい性質を持っておる。具体的には年間の平均気温が14~16度くらい、最低気温がマイナス11~12度を下回らない地域が栽培に適しているんじゃ。しかし、ただ気温が高ければいいというものではなく、昼夜の温度差などもお茶の品質に大きく影響するのじゃ。
男子生徒
昼と朝晩との寒暖の差が激しい方が、おいしいお茶ができるって何かで読んだ気がする。
女子生徒
先生
おお、よく知っておるな。
先生
また、茶の栽培には養分に富み、通気性が良く、適度な保水性のある良い土壌が必要で、pH4~5の酸性土壌が適しているんじゃ。
女子生徒
先生
次に茶園の管理についてじゃが、茶栽培の年間スケジュールを表にしたので、ノートに書き写すように。

茶栽培の年間スケジュール例

1月 特になし
2月 [下旬] 春肥(1回目)
3月 [上旬] 春整枝
[中旬] 春肥(1回目)病害虫防除
[下旬] 防霜
4月 [上旬] 芽出し肥
5月 [上旬] 一番茶の摘採
[中旬] 夏肥(1回目)整枝
[下旬] 病害虫防除
6月 [中旬] 病害虫防除
[下旬] 二番茶の摘採
7月 [上旬] 夏肥(2回目)病害虫防除
[下旬] 病害虫防除
8月 [上旬] 三番茶の摘採 土壌改良
[下旬] 秋肥(1回目)深耕
9月 [上旬] 病害虫防除
[中旬] 秋肥(2回目)
10月 [上旬] 秋整枝
11月 [下旬] 病害虫防除
12月 [上旬] 敷き草
表にしただけなんて、手抜きだなあ・・・。
男子生徒
先生
細かく説明してもどうせ覚えられんじゃろ。
先生
茶は挿し木で繁殖させ、その苗を植えて育てるんじゃが、葉を摘み取ることができるようになるまでには4年、収量が安定するまで7~10年、木の寿命は30~50年と言われておる。茶を育てるには根気と体力がいるんじゃ。
男子生徒
僕には無理って言いたいんでしょ。
男子生徒
先生、摘採って前に勉強したことがあるような気がするけど・・・・なんだっけ?
女子生徒
先生
うむ、摘採とは読んで字の如く、茶の葉を摘み採ることで、摘み採り方法や時期によってお茶の品質に差が出るんじゃ。
先生
摘み採り方法は大きく分けて、手で摘む、ハサミで摘む、機械で摘む、の3つ。現在は機械摘みが主流じゃが、機械を使いづらい急傾斜地や小規模茶園では、ハサミを使ったり、上質茶を作るために手間のかかる手摘みをすることもあるんじゃよ。手摘み茶は値段が高くてめったに飲めんがのう。
女子生徒
先生
摘み採り時期によってお茶の品質に差が出るんじゃが、これはお茶の成分の授業でやったので省略する。
そこはもう一回詳しく聞きたいところだね。
男子生徒
先生
さては授業聞いてなかったな・・・。お茶の葉は生長するにともない、カテキン類・カフェイン・アミノ酸類が減少し、植物繊維質と糖類は増加する。つまり簡単に言うと、生長してしまった茶の葉(二番茶・三番茶)は、若い葉(一番茶)よりも味が落ちるということじゃ。
なら僕は一番茶しか飲まないよ。
男子生徒
待って、でも二番茶って一番茶よりカテキンが多いんじゃなかったかしら・・・
女子生徒
先生
その通り!二番茶・三番茶は日照時間が長い時期に成長するので、光の作用によって作られるカテキン類が多くなるのじゃ!
カテキンの健康効果についてはカテキンについてを参考にするがよい。
味を取るか健康を取るか・・・困ったな。
男子生徒
先生
両方飲めば解決じゃ。
先生!もうひとつ質問。「整枝」って何のこと?
女子生徒
先生
「整枝」とは茶株面をきれいにそろえる作業のことじゃ。目的は新芽が一斉に伸びるようにし、新芽摘採の時に、古い葉や茎を一緒に刈ってしまうのを防ぐためなんじゃ。茶樹を思い切って短く刈ることを「剪枝」と言うんじゃが、こちらは茶の品質をよくしたり、作業効率を上げたりする目的で、一番茶を摘採したあとに行う。
茶畑がきれいに揃って見えるのは、おじさんたちがそういう作業をしているからなんだな。
男子生徒
先生
作業をしているのはおじさんだけではないぞ。ついでに春肥の説明もしておこうかのう。
春肥って!まさか涼宮ハルヒのことじゃないよね?
男子生徒
先生
涼宮ハルヒ?
先生
春肥は春に、夏肥は夏に、秋肥は秋に、茶に施す肥料のことじゃ。それくらい字を見ればわかりそうなもんじゃがのう・・・。
ですよね~
男子生徒
先生
品質の高い茶を収穫するためには、季節ごとに肥料の三大要素と呼ばれるチッソ、リン酸、カリウムをバランスよく茶園に施すことが重要なんじゃが、近年、チッソ多肥に起因する環境への負荷発生並びに土壌の劣化が問題となっており、施肥削減に取り組む農家が増えてきておるそうじゃ。チッソは旨み成分を増加させると言われておるので、悩ましい問題じゃがのう。
ちなみに一般的な茶の施肥は、チッソが春肥と秋肥に30%ずつ、夏肥に40%、リン酸、カリウムは春肥と秋肥に50%ずつとなっておる。
女子生徒
先生
そろそろ疲れてきたのでこれで授業を終わりにしたいんじゃが、最後にひとつずつ質問を受け付けよう。
女子からどうぞ。
男子生徒
う~ん、そうね~。・・・お茶に使う農薬とかが気になるんだけど、大丈夫かしら?
女子生徒
先生
うむ、病害虫を防ぐために農薬を使うことはもちろんある。しかし、現在農薬の使用は、農薬取締法や食品衛生法、水質汚濁防止法などの法令により、使用時期や使用方法などが厳しく制限され、農薬の残留基準は「一生、毎日食べても健康に影響がないと考えられる量」と定められておるのじゃ。もしどうしても気になるようであれば、有機栽培で作られたお茶を飲むというのも選択肢のひとつじゃな。
そうなんだ。今日はいろいろ勉強になったわ。
女子生徒
先生、最後の質問なんだけど、この大学はテストってないの?
男子生徒
先生
おう、そうじゃった。勉強をしたらテストをやらんとな。試験会場に行けばいつでもテストが受けられるが、60点以上とらないと卒業できんからそのつもりで。
えっ、まじ?
女子生徒
やっぱり。。。テストがない学校なんてあるわけないよな。
男子生徒
先生
授業をちゃんと聞いていれば、解ける問題ばかりじゃ。頑張ってくれたまえ!
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