カテキンについて

カテキンの化学記号とお茶の写真。緑茶の茶葉と湯呑を背景に、EGCGなどカテキンの分子構造式を組み合わせたイメージ

日本茶の健康イメージを支える主役、それが「カテキン」です。お茶の「渋み」や「苦み」の正体ですが、実は単一の成分ではなく、個性豊かな4つの成分が合わさってできています。それぞれの特徴を知ることで、お茶の楽しみ方はもっと広がります。

店主 袴田みのり

記事監修:袴田みのり
お茶のある豊かな暮らしを提案するみのり園店主が、カテキンの世界を解説。

お茶に含まれる主要な4つのカテキン

カテキンはポリフェノールの一種で、かつては「タンニン」とも呼ばれていました。茶葉に含まれるカテキンは、構造の違いにより「ガレート型」と「遊離型」に大別され、代表的な4成分は次のとおりです。

1. エピガロカテキンガレート(EGCG)

緑茶カテキンの約半分を占める主成分で、強い渋みのもととなるガレート型のカテキンです。世界中で最も多く研究されている緑茶成分として知られています。

2. エピガロカテキン(EGC)

穏やかな苦みが特徴の遊離型カテキン。熱湯よりも「水出し」などの低温で溶け出しやすい性質があり、最近では身体本来のコンディションを整える役割も注目されています。

3. エピカテキンガレート(ECG)

キリッとした渋みを持つガレート型成分。他のカテキンと調和することで、日本茶特有の複雑で奥行きのある味わいを作り出しています。

4. エピカテキン(EC)

無色で渋みが少ない遊離型成分。ホッと一息つきたいリラックスタイムに活躍します。なお緑茶飲料の製造で加熱処理が加わると、異性化したものを含め合計8種類のカテキンが存在することもあります。

4種類のカテキン(EGCG・EGC・ECG・EC)の特徴をまとめたインフォグラフィック。ガレート型(EGCG・ECG)と遊離型(EGC・EC)の分類を示し、各成分の渋み・苦みの強さと主な特徴を比較した図解。緑を基調としたシンプルなデザイン

茶種によって変わるカテキンの量

お茶の種類によって、カテキンの含有量は大きく異なります。これは製造工程における「酸化(発酵)」の度合いによって決まります。酸化工程を経ると、カテキンは「テアフラビン」や「テアルビジン」といった別の物質に変化するため、緑茶と比較してカテキン含有量は少なくなります。

茶種とカテキン含有量の関係
茶の種類 発酵の度合い カテキンの特徴 代表例
不発酵茶 なし 酸化酵素を失活させて製造するため、カテキンが豊富に残る 緑茶(煎茶・玉露・抹茶など)
半発酵茶 一部 酸化工程でカテキンが一部変化するため、緑茶より少なくなる ウーロン茶
発酵茶 完全 カテキンが「テアフラビン」「テアルビジン」に変化し、緑茶と比べて大きく減少する 紅茶・プーアル茶

太陽の光を浴びるほど、力強くなるカテキン

茶葉に含まれるカテキンの量は、栽培中の「日光の照射量」に大きく依存します。お茶の根でつくられた旨味成分「テアニン(アミノ酸)」は、葉に移動した後、日光を浴びることで「カテキン」へと変化します。このため、栽培方法によって成分構成が大きく変わります。

☀️ 露地栽培(カテキンが多い)

日光を遮らずに栽培する方法。煎茶や番茶がこれに該当します。光合成が活発なためテアニンがカテキンに変化し、カテキン含有量が高まります。特に夏場の強い日差しを浴びた二番茶・三番茶は、一番茶よりカテキンが多くなる傾向があります。

🌿 被覆栽培(カテキンが少ない)

日光を遮って栽培する方法。玉露・抹茶・かぶせ茶が該当します。光合成を制限することでテアニンからカテキンへの変化を抑え、旨味が強く、苦渋味を抑えたまろやかな味わいになります。

露地栽培と被覆栽培の比較写真。左:直射日光が降り注ぐ緑の茶畑(露地栽培・カテキン多め)。右:黒い遮光ネットで覆われた茶畑(被覆栽培・テアニン多め)。それぞれの成分特性を示す矢印とテキストを添えたインフォグラフィック

毎日の暮らしにカテキンを積極的に取り入れたい方は、力強い味わいの番茶を熱湯でさっと淹れて日常的に召し上がるのも、専門店の知恵の一つです。

品種・産地によるカテキン含有量の差

カテキンの量はお茶の種類だけでなく、品種産地の気候・土壌によっても大きく変わります。専門店の視点から、知っておいていただきたいポイントをご紹介します。

📌 摘採時期とカテキンの関係

一番茶(新茶)は冬の間に根でテアニンが蓄積されるため、カテキンが比較的少なく旨みが豊かです。一方、夏の強い紫外線を浴びた二番茶・三番茶ではテアニンがカテキンへと変化が進み、カテキン含有量は一番茶の1.5〜2倍程度になるとされています。

📌 産地の標高とカテキンの関係

紫外線量が多い高標高の産地(川根・本山など)では、茶樹が紫外線から身を守るためにカテキンを多く合成する傾向があります。一方、霧の多い山間地や覆い下栽培が盛んな宇治・八女などでは、遮光によりカテキンが抑えられ旨みが際立ちます。
→ お茶の産地と銘柄について詳しく見る

📌 品種とカテキンの関係

国内のお茶の大部分を占める品種「やぶきた」は、カテキンと旨みのバランスが良いとされています。鹿児島で多く栽培される「ゆたかみどり」は早生で収穫時期が早く、カテキンが増える前に摘採されるためすっきりした味わいになります。また「べにふうき」は通常のカテキンとは異なるメチル化カテキンを豊富に含む特異な品種です。
→ べにふうきについて詳しく見る

カテキンをまるごと楽しめる「深蒸し茶」

カテキンを効率よく取り入れたい方に、みのり園が自信を持っておすすめするのが「掛川産の深蒸し茶」です。

通常の煎茶よりも長く蒸し上げることで、茶葉の組織が非常に細かくなっています。そのため、通常の茶葉ではお湯に溶け出しにくいカテキンなどの有効成分が、抽出時にたっぷりと含まれます。濃厚で深い緑色の一滴一滴には、自然の恵みがギュッと凝縮されているのです。

カテキンと保健機能食品

カテキンは食品成分の中でも特に研究が盛んな物質のひとつです。ここでは、カテキンが保健機能食品においてどのような働きが注目されているかを、メカニズムの観点から整理します。なお、以下はあくまで「国が許可・届出を受理した製品の関与成分としての紹介」であり、お茶そのものの効能・効果を示すものではありません。

体脂肪へのアプローチ(ガレート型カテキン)

EGCGをはじめとするガレート型カテキンは、消化酵素(リパーゼ)の働きを阻害することで、小腸での脂肪吸収を穏やかにする可能性が研究されています。BMIが高めの方の体脂肪・内臓脂肪に関与する機能性表示食品・トクホ製品が国内で多数許可されています。

コレステロールへのアプローチ

カテキンは胆汁酸と結合することでコレステロールの再吸収を妨げ、血中LDLコレステロール値に働きかける可能性が示唆されています。この働きに着目したトクホ製品が存在します。

食後血糖値へのアプローチ

カテキンは糖の消化に関わる酵素(α-グルコシダーゼ)の活性を抑制することで、食後の血糖値上昇を穏やかにする可能性が報告されています。食後血糖値が気になる方向けの機能性表示食品に活用されています。

口腔ケアへのアプローチ

カテキンは細菌の細胞膜に作用することで、口腔内の細菌増殖を抑制する働きが研究されています。歯ぐきの健康維持や口臭原因物質の抑制を表示した製品があります。

上記はいずれも「研究・報告がある」「機能性表示食品・トクホとして許可された製品がある」という事実の紹介です。お茶を飲むことでこれらの効果が得られることを示すものではありません。

⚠ カテキンを摂る際のご注意

カテキンは日々のお茶として取り入れやすい成分ですが、特定の状況では注意が必要な場合があります。

お薬との飲み合わせ

以下のお薬を服用中の方は、カテキンとの相互作用により効果に影響が出る可能性があります。必ず医師または薬剤師にご相談の上、お薬は水または白湯でお飲みください。

  • 鉄剤:カテキンが鉄と結合し、鉄の吸収を妨げる場合があります。
  • 一部の降圧薬(ナドロール等):カテキンが薬の吸収を阻害し、血中濃度を低下させる可能性があります。
  • 一部の脂質異常症用薬:カテキンが薬の代謝に影響を与える可能性があります。

飲み方のポイント

  • 空腹時に濃いお茶を多量に飲むと、胃の粘膜を刺激し不快感を覚える場合があります。食事とともに、または食後にお楽しみください。
  • サプリメント等でカテキンを高濃度に摂取することは、通常の飲用とは異なります。過剰摂取による肝機能への影響も報告されているため、摂取目安を守りましょう。

※本ページで紹介している成分の一般的な特徴や研究事例は、特定の商品の効能・効果を保証するものではありません。お茶は食品であり、毎日の健康維持の習慣としてお楽しみください。

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