深蒸し茶の製法とは?10の工程
~ 旨味を凝縮させる、職人のこだわり工程 ~


浅蒸し・普通蒸し・深蒸し、何が違う?
同じ緑茶でも、蒸し時間によって水色・味わい・茶葉の見た目は大きく変わります。まずは3つのタイプを比較してみましょう。
| 浅蒸し | 普通蒸し | 深蒸し | |
|---|---|---|---|
| 蒸し時間 | 15〜20秒 | 30〜40秒 | 60〜120秒 |
| 茶葉の形状 | 針のように細く伸びた形 | 標準的な針状 | 葉が崩れ、粉状に近い細かさ |
| 水色 | 淡く澄んだ黄緑色 | 澄んだ緑色 | 濃い緑色でやや濁りあり |
| 味わい | 香り高くキリッとした爽やかな渋み | 渋み・甘み・旨みのバランス型 | 渋みが抑えられ、まろやかな甘みとコク |
| 代表的な産地 | 京都・奈良などの山間部 | 全国各地 | 静岡県牧之原台地・掛川など平坦地 |
※蒸し時間や味わいの傾向は茶葉の品種・産地により変動します。
深蒸し茶はいつ生まれた?
深蒸し茶が生まれたのは、昭和30年代(1955年頃〜)の静岡県牧之原台地と言われています。明治時代に開拓されたこの台地は、山間部と違って遮るもののない平坦な茶畑が広がる土地でした。直射日光をたっぷり浴びて育つ茶葉は渋み成分が多くなりがちという課題を抱えており、そこで生産者たちが編み出したのが、蒸し時間を通常の2〜3倍に延ばすという工夫だったとされています。長く蒸すことで渋みの元となる成分の抽出を抑え、まろやかな甘みを引き出すことに成功したのです。この平坦地ならではの知恵から生まれた深蒸し茶は、やがて牧之原台地に隣接する掛川エリアにも広がり、今では静岡を代表する茶種の一つとなっています。
深蒸し茶の最大の特徴は、製造工程の最初に行われる「蒸し(蒸熱)」の時間にあります。 通常の煎茶が30~40秒ほど蒸されるのに対し、深蒸し茶はその2~3倍にあたる60~120秒もの時間をかけて、じっくりと蒸し上げます。

長く蒸すことで茶葉が芯まで柔らかくなり、渋みが抑えられる一方、お茶の成分が溶け出しやすくなり、あの濃厚なコクと鮮やかな緑色が生まれるのです。

しかし、長く蒸せば良いというわけではありません。葉が柔らかくなりすぎると形が崩れやすいため、みのり園ではベルトコンベアー式の蒸し機を使用し、茶葉を優しく守りながら均一に熱を通しています。
熟練の茶師がその日の気温や湿度、茶葉の硬さを見極め、秒単位で調整を行う。この繊細な仕事こそが、みのり園の深蒸し茶の美味しさの根源です。
製造工程:荒茶から仕上げまで
茶葉が持つポテンシャルを最大限に引き出す、10のステップ
【1】蒸熱(じょうねつ)
新鮮な茶葉の酸化を止め、鮮やかな緑と旨味を閉じ込める最重要工程です。(60~120秒)
【2】冷却
急激に冷却することで色味を安定させ、余分な水分を取り除きます。
【3】葉打・粗揉(そじゅう)
熱風を送りながら揉み、効率よく乾燥を進めていきます。
【4】揉捻(じゅうねん)
力を加えて揉むことで、茶葉の細胞を適度に刺激し、水分のムラをなくします。
【5】中揉(ちゅうじゅう)
茶葉の形を整えながら、さらに均一に水分を除いていきます。
【6】精揉(せいじゅう)
熱を加えながら、お茶特有の針状の形に整えていく仕上げの揉み工程です。
【7】乾燥
保存性を高めるため、しっかりと乾燥させ「荒茶(あらちゃ)」の状態にします。
【8】火入れ(焙煎)
ここが味の決め手!お茶本来の香りを極限まで引き出し、みのり園独自の風味を完成させます。深蒸し茶特有のまろやかな甘みに、香ばしさを吹き込む命の工程です。
【9】仕上げ・選別
形を整え、余分な粉や茎を丁寧に取り除いて選別します。
【10】ブレンド(合組)
産地や品種の特徴を見極め、常に安定した「いつもの美味しい味」に仕上げ、単一の畑では出せない、複数の茶葉が響き合う『奥深い余韻』を創り出します。

なぜ深蒸し茶には「粉」が多いのですか?
工程を見ていただいた通り、深蒸し茶は長く蒸すことで茶葉が非常に柔らかくなります。そのため、揉む工程で茶葉の先が細かく砕け、たくさんの「粉」が生まれます。
実は、この粉こそが深蒸し茶の旨味と健康成分(カテキン・食物繊維など)の塊です。淹れたときにお茶が濃く濁って見えるのは、成分がしっかり溶け出している証。湯呑みの底に残る粉までお召し上がりいただくのが、最も贅沢で健康的な飲み方です。
深蒸し茶製造の全工程(まとめ)
この工程から生まれた、みのり園の代表作
職人の技とこだわりが詰まった、自慢の深蒸し茶です。